皆さんにとっての2015年は、どんな年でしたか?
私にとって、独立起業して3年目となった今年。
私自身にとっても、私が主戦場とする物流業界においても、転機の萌芽が見えた2015年であったと考えています。
おりしも、「デジタル・アメリカ:持つ者と、もっと持つ者の物語」という記事が注目を集めています。
同記事を取り上げながら、私の2015年をふりかえり、そして2016年について、お話しいたしましょう。
富める者は、あなたや私とは違う。彼らはテクノロジーをわれわれ以上に豊富に持っている。(中略)
デジタル技術に多額の投資をしている業界(セクター)や企業、そして人々は、桁外れに大きな成果を得ているという。(中略)
デジタル化(digitization)の最先端を行く一部の「フロンティア企業」は、デジタル技術にずっと多くの投資をしており、それをはるかにうまく活用しているという。(中略)
「持つ者」と「もっと持つ者」との格差は、企業間だけでなく、セクター間にも表れている。リポートによると、デジタル化の波は建設、医療と農業のセクターにそれほど押し寄せていない。そして、こうしたセクターはいずれも、2005年から14年までの生産性の伸びがマイナスになっている。これとは違って、デジタル化でリードするセクターの生産性は伸びている。その伸び率は石油・天然ガスの2.9%からICT(情報通信技術)の4.6%までさまざまだ。商務省は07年から14年までの間に非農業セクター全体の生産性が平均で年0.5%伸びたと予測している。
個人のレベルで見ると、こうした生産性が伸びたセクターでは、賃金が速いペースで伸びることにつながっている。「デジタル労働指数」は、どれだけ多くの職場および仕事がデジタル化されているかや、デジタル技術の浸透(つまり深化)の度合いを計測する指数だが、その指数の数値が高くて上位にあるセクターでは、1997年から2014年までの賃金の伸びが4〜5%と、経済全体の平均の2.4%を大きく上回った、とリポートは指摘している。(後略)
出典:THE WALL STREET JOURNAL
デジタルデバイドという言葉がありました。
Wikipediaによれば、この言葉が最初に公式に使われたのは、1996年。当時アメリカ副大統領であったアル・ゴア氏の発言であったとのこと。
デジタルデバイド
パソコン、インターネットなどの情報技術を使いこなせる者と使いこなせない者の間に生じる格差のこと。デジタルデバイドが生む格差としては、得られる収入や情報の格差、利用できるサービスの格差などがあげられる。
出典:コトバンク
私の感覚では、デジタルデバイドという言葉が頻繁に使われていたのは、2002年~2004年。
Googleトレンドで、「デジタルデバイド」、「情報格差」と検索すると、「デジタルデバイド」が2005年移行急激に減少し、代わって「情報格差」が安定的にキーワードとして頻出しているさまが分かります。
「デジタル・アメリカ:持つ者と、もっと持つ者の物語」は、10年を経て分析された、新たなデジタルデバイドの形です。
これを簡単に図表化したのが上。
記事を読むと、難しいことが書いていますが、このようにまとめ直してみると、いかがでしょうか?
上図内容は、多くの人が、ふわっと曖昧ながらも、既に感じたきたことかと考えられます。
記事中から、業界別のデジタル化度合いを可視化した図を転載しました。
これによると、物流業界(Transportation and warehousing)のデジタル化度合いは、全産業中真ん中くらい。
小売や建築、医療などの産業分野よりも、良い評点をもらっていますが、これはあくまでもアメリカの例。
日本国内においては、これら業界よりも、物流業界のデジタル化度合いは、ずっと下位であり、農業や介護などと同レベルの最下層に位置するものと考えられます。
さて、ここからは私自身の2015年における振り返りを交えつつ、お話します。
2015年の物流業界、とりわけ運送会社においては、トラックドライバーの人不足が極めて深刻な課題として話題になりました。
でも...、ですよ。
実は、きちんと人を集め、採用することに成功している物流企業は、確かに存在するわけです。
例えば、国土交通省は物流業界の産業力を高めるため、物流KPIの策定と運用普及を重要な課題としました。
ところが、物流企業の中にも、さまざまなツールを用い、既に独自のKPIを策定、経営分析と重要かつ迅速な経営判断に活用している企業は存在するわけです。
格差、ですね。
物流企業の間にも、格差は間違いなく、そして当たり前ですが存在します。
そして、私が2015年に行ってきたことは、格差の上位に位置することを目指す企業を応援することでした。
いくつか事例を挙げましょう。
ある物流企業に対し、私はスマホ(iPhone)を利用した位置管理アプリの導入を進めました。
端的に言えば、これはその物流企業が、営業コンペを勝ち取るための差別化ツールとして活用することが目的でした。
そして、その企業における請求処理業務の省力化を目指すため、ExcelVBAを用いた請求業務処理アプリを開発を続けています。
請求処理業務の省力化を実現できれば、管理コストの圧縮につながります。
つまり、価格競争力への対応力も高くすることができ、他社との差別化であり、また他社よりも強い武器を持つことができるわけです。
ある物流企業では、配車に対する定量分析であり、定量評価を進めています。
属人化しやすい配車業務に対し、定量的な分析と評価を進めることで、より効率の高い配車計画を目指すことができます。
もっとも密にお付き合いしている企業のひとつである、秋元運輸倉庫様では、さまざまな試みを行ってまいりました。
- メルマガ「秋元通信」の拡大
- Webサイトリニューアル
- インターンシップ実施のディレクション
- 業務改善活動コンサルティング
- 人材育成コンサルティング
その詳細な内容については、同社のメルマガに記載しておりますので、ぜひご覧ください。
あらためて述べることでもありませんが、物流業界は古い体質がこびりついてしまっています。
IT活用や、システム導入などは、恥ずかしいくらいに進んでいません。
ただし、2015年の物流業界は、そういう業界体質をよしとせず、「このままでは良くない」という危機感と、現状を打破する意欲と勇気をもった企業が声を上げ始めた年であったと感じています。
私の2015年は、クライアント企業様の「もっとガンバリたい!」と思う気持ちに対し、その実現方法や推進方法、実行力といったお手伝いをさせていただきました。
そういった機会を頂戴することにより、私もクライアント企業様に育てていただき、確実にチカラを身につけることのできた一年でありました。
2016年、これからのこと。
現在は、いろいろな意味で成熟した社会と言えます。
例えば、トヨタ生産方式。
製造の現場、品質管理の現場などでは、トヨタ生産方式に代表されるような優秀な手法が研究され、開発され、既に実践されています。「改善」と言ってもやれることは限られてきているのが、現状だと考えます。
対し、物流ビジネスは、先のレポートから引用すれば、
「デジタル技術の浸透(つまり深化)の度合いを計測する指数が低く、今後デジタル技術から大きな恩恵を受けることが出来る」
産業分野であると言えます。
進化(深化) = デジタル技術、とするのは早計です。ただ、ITでありデジタルを使った企業へのお手伝いを得意としている私にとっては、物流業界は、たくさんの活躍の場があるブルーオーシャンであると考えています。
根性論や精神論ではない、具体的かつ明確な解決法。
「もっとガンバリたい!」と願う企業に対し、その方策を提供し、「願い」をビジネスへと昇華させること。
それが、私のミッションであることを、2016年は、2015年よりもさらに実践し、進化させていきます。
今年は多忙を言い訳に、特に夏以降に関しては、ほとんど本Webサイトも更新を怠っていましたが、ビジネス紹介や事例紹介などを中心に、少しづつ「いまのPavismの姿」にあわせて行きますね。
2016年も、よろしくお願い申し上げます。