『運送契約の書面化』に関するガイドラインが、2014年1月22日に国土交通省よりリリースされました。
そもそも、「契約」なのに「書面化」なる義務化がされること自体、なんだか一般的には不自然なのですが。(一般的に、契約って書面化されているものですよね)
簡単ではありますが、ポイントをまとめましたので、ご参考まで。
◆運送契約の書面化に関する状況 (2014/01/24現在)
◇国土交通省からの最新リリース
「適正な取引の確保及び輸送の安全を阻害する行為の防止等のための省令等の改正について」 (※2014/01/22リリース 報道発表)
https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha04_hh_000066.html
内容は、大きく5つ。
1. 【改正】貨物自動車運送事業輸送安全規則
2. 【ガイドライン制定】「トラック運送業における書面化推進ガイドライン」
3. 【改正】標準貨物自動車運送約款
4. 荷主、元請事業者、利用運送事業者への通達・要請
5. スケジュール
◇各内容の概要
1. 【改正】貨物自動車運送事業輸送安全規則
(適正な取引の確保)
第九条の四 一般貨物自動車運送事業者等は、運送条件が明確でない運送の引受け、運送の直前若しくは開始以降の運送条件の変更又は運送契約によらない附帯業務の実施に起因する運転者の過労運転又は過積載による運送その他の輸送の安全を阻害する行為を防止するため、荷主と密接に連絡し、及び協力して、適正な取引の確保に努めなければならない。
要は、『運送の安全のため、運送事業者は、運送条件を明確にしなさい』ということ。
2. 【ガイドライン制定】「トラック運送業における書面化推進ガイドライン」
以下、ガイドライン(https://www.mlit.go.jp/common/001024950.pdf)よりポイントを抜粋。
l 書面(運送状)の発出が、荷主の義務となる。
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荷主は運送状を運送会社に発出し、運送会社は運送引受書を荷主に発出しなければならない。
それぞれは、運送業務開始前に当然ながら発行、提出されなくてはならない。
なおここで言う荷主とは、利用運送におけるいわゆる親請けも同義。
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書面はFAXなどに加えて電子メール等の電磁的方法も可能。
「電磁的方法」に関し、今回発表されたガイドラインには、FAX、メール以外の具体的記載はないが、福岡県庁などでは、電磁的方法とは「ウェブサイト(ホームページ)への書き込みによる方法」という記載がある。EDI等システムにより運送状、運送引受書を代替することも可能ではないかと推測する。
l FAX、電子メールによる運送引受書の運送会社への提出は、印紙税が発生しない。
l 「必要記載事項」が存在。
① 運送委託者/受託者名、連絡先等
② 委託日、受託日
③ 運送日時(積込み開始日時・場所、取卸し終了日時・場所)
④ 運送品の概要、車種・台数
⑤ 運賃、燃料サーチャージ
⑥ 附帯業務内容
⑦ 有料道路利用料、附帯業務料その他
⑧ 支払方法、支払期日
※補足
③ 運送日時(積込み開始日時・場所、取卸し終了日時・場所)
『所定の拘束時間、休息期間、運転時間、連続運転時間に抵触しないこと、荷待ち時間が生じないこと等に留意して委託者、受託者間で決定後に記載して下さい。』
→ 実運送会社および親請け(ないし荷主)双方に、監視責任を課す内容か??
⑥ 附帯業務内容
付帯業務とは、「運送に附帯して、時間、技能や機器等を伴って提供される業務」であり、その例として、「品代金の取立て、荷掛金の立替え、貨物の荷造り、仕分け、保管、検収及び検品」、「貨物の荷造り、貨物の仕分け、貨物の保管、フォークリフトによる作業、貨物の検収、検品に関する作業」が挙げられている。
⑦ 有料道路利用料、附帯業務料その他
有料道路利用料、附帯業務料等、車両留置料、その他の4つがガイドライン上に記載されている。
車両留置料とは、「車両が貨物の発地又は着地に到着後、運送委託者等の都合により留置された時間(貨物の積込み又は取卸しの時間を含む。)が運送受託者の規定する車両留置時間を超える場合に収受するもの」と記載され、時間単価で表すとされている。
要は、運送状に「運送日時」として荷役、待機等の時間を予め記載しなくてはならず、かつ運送日時を超える残業時間に対する料金の記載を課すものと考えられる。
l 運送会社は、荷主に対して「運送引受書」を交付し、1年間保存するように務めること(※義務ではない)
l 基本契約、覚書、作業指示書、発注書等に必要記載事項が記載されている場合には改めて書面化する必要はない。
l 継続的かつ同じ内容の仕事については、運送ごとの書面化は不要。変わる内容があれば、その部分だけ書面化すれば良い(例えば車両台数等)。これは、メール、FAX等で済ませてもOK。
l 運賃・料金については、金額を記載するのではなく、算定方法を記載することでもOKとされる。ただし、その算定方法は、「当該運送の運賃・料金を確定できる明確な適用方が含まれるもの」である必要がある。
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ガイドライン中には、運送引受書のひな形も示されている。
継続的な仕事のほか、スポット運送に関するひな形もあり。
https://www.mlit.go.jp/common/001024950.pdf
20ページ、21ページ参照
3. 【改正】標準貨物自動車運送約款
① 標準貨物自動車運送約款第8条第1項に規定される運送状を、荷主等が提出しなければならないこととし、その記載事項として、燃料サーチャージ、有料道路利用料の額等を追加する。
② 附帯業務の内容について明確化する。
③ 車両留置料の収受について明文化する。
③
4. 荷主、元請事業者、利用運送事業者への通達・要請
https://www.mlit.go.jp/common/001024952.pdf
「荷主勧告」として、「当該荷主名及び事案の概要を公表」という一文はあるが、荷主に対する公表以外の罰則はない。
5. スケジュール
施行は、平成26年4月1日。
移行期間、猶予期間等はない。
◇その他 参考
カーゴニュース 「国交省、4月からトラック運送には原則「書面契約」が必要に」
http://cargo-news.co.jp/contents/code/140121_1?
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