ドライバーを集める工夫 <前編>

前回、『ドライバー不足問題と「社員(=ドライバー)の価値」』というテーマで、ドライバー不足問題に関し、その原因のひとつを考えてみました。

 

運送業界全体で、ドライバー不足が問題になっていることは周知のことではありますが、人不足は決して運送業界だけの問題ではありません。

そして、運送業界にあっても、ドライバーを集められている会社も存在します。

 

結論から言うと、この人材不足の中、ドライバーを集めるためには、「手間をかける」か、「お金をかける」か、いずれかの方法しかありません。(少なくとも、僕は他の方法を知らない)

 

また、絶対的に結果が出る方法もなくて、実際には複数の方法を組み合わせて、当の運送会社の事情に合わせ、試行錯誤する必要があることも書き加えておきます。

 

 

では、実際にドライバー募集に成果を得ている事例をいくつかご紹介します。

 

◆ドライバーを集める工夫

◇紹介制度の活用

ある運送会社では、ドライバー募集に就職情報誌や就職情報サイトなど、広告媒体の手を借りていません。

在籍社員ドライバーからの紹介制度によってのみ、ドライバー募集を実施、確保しているそうです。

 

仕組みは簡単です。

自社ドライバーに対し、知人にドライバーになりたい人を探すようにお願いします。

実際に知人が応募してくれた場合には、知人を紹介してくれたドライバーに紹介料を払います。

 

メリット

  • 会社側にとっては、応募者のレベルが保証されていること。自社ドライバーが、程度の低い人間を会社に紹介することは考えにくい。
  • 応募者にとっては、事前に会社の情報を知人(社員)から聞いておけるため、入社してからの失敗やミスマッチのリスクを避けられること。
  • 自社ドライバーにとっては、紹介料を得られるばかりでなく、信頼のおける仲間を増やすことができること。

 

デメリット

  • 社員全体に愛社精神が備わっていないと、そもそも知人を紹介してくれるわけがない。
  • 社員数が少ない会社だと、効果が見えにくい。また、頻繁に行える方法ではない。
  • 紹介料欲しさに他運総会社のドライバーを引きぬく行為をするドライバーが出てきた場合、会社間のトラブルに発展する可能性がある。

 

 

◇就職情報サイトの活用

特に中小零細の運送会社においては、就職情報サイトを使用せず、紙媒体、もしくはハローワークを利用するケースが多いかと思います。理由の多くは予算的なものかと思います。実際、就職情報サイトのほうが、タウンワーク等の地域型就職情報誌、チラシ等よりも、概ね求人広告出稿費用が高額ですので。

 

メリット

  • 比較的効果が見込みやすい。
    より多くの予算をかけることになるので、当たり前ですが。
  • ITリテラシーの比較的高い人材を採用できる。
    PCもスマホも持ってない人は、普通就職情報サイトにはアクセスしませんからね。

 

デメリット

  • コストが高いこと。
    しかも、結果(費用対効果)は必ずしもかけたコストに比例してくれるわけではない。
    今まで予算3万円で紙媒体に広告出していた会社が、10倍の30万円の予算を就職情報サイトにつぎ込んだからといって、応募人数が10倍に増えることはまずありえません。
    ものすごく感覚的な言い方になってしまうのですが、5倍の予算をつぎ込んで、募集人数は2割増しのイメージだと思います。

 

 

◇ホームページをリニューアルする(新しく作る)

応募者、就職希望者が魅力を感じるように、会社ホームページをリニューアルする、もしくは新たに作ることも、意外と効果があります。

運送会社の中には、未だ会社HPを持たないところもありますが、それは今の時代もうダメです。

会社(就職先/転職先)を選ぶ立場にある求職者にとっても、今どきHPすらない会社に就職したくはないですよ。

また、HP上で分かりやすく自社のアピールすることで、応募者の不安を解消する効果があります。

 

メリット

  • HPリニューアル(新規作成)は、人材募集だけでなく、既存社員、その家族、取引先など、広く効果が見込めること。
  • 予め会社のことを応募者に知らせておけるので、応募者と会社側のミスマッチを軽減できる効果がある。

 

デメリット

  • 手間がかかる。
  • 効果が直接的ではない。
  • そもそも会社側に、アピールできるネタがないと効果がない。

 

※HPに関することは、また別ネタで詳しく書きます。

 

 

「就職」という行為は、仕事を求める人(求職者)が、ある会社の将来性を購入するという行為と考えられます。購入の対価は、求職者自身の能力であり、時間であり、将来性であるわけです。

会社目線から言えば、『「採用」という行為は、求職者の能力、時間、将来性などを給料という対価をもって購入する行為である』と言えますが、このような会社目線でしか捉えられない採用活動は、もはや今の時代良い結果を生むとは言いがたい状況にあります。

 

今回は、主に「お金がかかる」方法をご紹介しましたが、次回は「手間がかかる」方法を中心にご紹介します。

良くも悪くも今の時代、求職者側の知識もアップしています。

前述のとおり、一方的な会社目線での採用活動では、良い結果は生まれません。

 

手間とお金を、どのようなボリューム、配分、そして形で、採用情報に投資するのか、それがドライバー不足に悩む運送会社の採用事情の改善につながるのです。